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欲しいのは設備の生きてる家

毎度お世話になっている自衛隊のお風呂。

一緒になった方とお話しするのは、災害時でもほっとひといきつく時間です。


「水まだなんですか?」

隣になった人になにげなく聞いてみると

「いや、水はもう出てる・・・」

「うちはガスがダメでお風呂場がバタバタでねえ。今、おたくにお住まいなんですか?」

「・・・・・・うちは全壊で、人んち借りて住んどるんやけど・・・給湯器が壊れとるもんで」

「ああ・・・それって、貸主さんが直してくださるんですか?」

「そんなそんな・・・」

「じゃあ・・・」

「・・・・どうしたもんかねえ・・・」


雪前の強い風が吹き荒れて、自衛隊風呂のテントがバッタバタ揺れ、会話は途絶えてしまいました。


知人に空き家の情報を聞いていたので問い合わせてみましたが、その家も設備はダメだろうとのこと。


今、必要とされているのは、半壊でもいいから設備が使える家。

台所、お風呂、洗濯場は生活の中心とも言える場所。

その基盤さえ整えっていれば、ちょっとずつ掃除して、傾いた柱を直して、やっていこうと思えるかもしれない。

でも、まだまだ寒く雪だって降る中で、お湯をわかすことができず、お風呂にも入れず、冷たい水で掃除をする。自分の家はなくなり、誰かの家の掃除をしている。


不便を楽しむ、なんていうのは自分の帰る家がきちんと建っていて、少しはお湯がでて・・・

そんな余裕があるからだったかもと反省しました。


家の補修と設備費を合わせてでも、この場所に家を探すのか。

ここに、住み続けるのか。

なんとなく、この方は能登を離れていってしまうんでは、と、胸がざわつきました。


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