EIKICHI PROJECT
- tsurusawayuko
- 2024年9月1日
- 読了時間: 5分

Futoの主軸の一つ「EIKICHI PROJECT」は、災害を機に廃棄される予定だった着物や古布をレスキューし再生するプロジェクト。
Futo立ち上げ当初から取り組んでいる活動です。
今回、第一段のあずま袋が完成し、販売の運びとなりました。
一つの着物から一枚(多くても二枚)しか作れないもので、数は多くありませんが、すべて丁寧な手仕事で作り上げました。
大容量で軽さが魅力の使い心地はもちろん、着物生地がもつ奥深い美しさ、素材感の心地よさ、肌なじみの良さを感じてもらえるバッグです。
ぜひ、お手に取ってもらえることを願っています。
今回の震災では、能登古来の技法を生かした建築物は解体の対象となり、手仕事が施された民具や着物は災害ゴミとして廃棄される傾向にありました。
瓦礫と化した建築物の残像、トラックに乗せられ災害ごみとして投げ捨てられる漆器や、袋にぎゅうぎゅう詰め込まれ廃棄を待つ着物を見つめながら、
「それは、本当にゴミなのか?」
この問いを何度も繰り返してきました。
そしてその問いが、古材を保護保管する「きのものおき小屋」と、この「EIKICHI PROJECT」を立ち上げるきっかけになりました。
譲っていただいた着物たちのほとんどは、被災した蔵や納屋に長く保管されていたものです。
納屋や蔵を解体するので置き場所がなく、着物を着る機会もないため捨てる、という選択がなされていました。
「もったいないと思うけど使い道がない」
「着物は今、二束三文でしか売れない」
「自分でリメイクでもできればいいんだけど・・・」
被災家屋片付けの際に譲っていただくという形をとっていた着物集めも、最近では口コミで連絡をもらうことが増えました。
「使ってくれるなら、ぜひ持っていってください」と。
みんな、捨てたくって捨ててるわけじゃない。
集まった着物は、本当に多種多様で、同じ柄というのはほとんどありません。
素材に関しても、一部化繊素材もありますが、多くは自然素材で作られており、どれほど古くても現代の布製品よりも質が良いものだと感じています。
この着物や布生地が作られた当初は、もちろんパソコンもネットもなく、本だってそうそう読まれてなかったかもしれない。
だとすると、一枚一枚独特の表情をみせる模様や織りは、身近にある自然の光景からインスパイアを受けて生まれたもの。
見惚れてしまう美しさは、日本の美しさそのものなんだ・・・
そう思うと、こみ上げるものがありました。
ふと、自分をはじめ、人々が着ている服を見つめます。
先人たちが大切に保管してきた美しい布が捨てられてしまう一方で、私たちはただ消費されるために生産されたものを身に纏っている。
汚れたら捨てればいいと思うもの、簡単に代わりのきくものを、選んでいる。
そういう暮らしを求めるとすれば、果たして、私たちが能登に生きる誇りはどこにあるのだろう?
簡単リメイクでもお土産ものではなく、本当に必要なもの、長く使いたいと思える本当に良いものをつくる。
このプロジェクトを立ち上げた当初から、そこだけは譲れない部分でした。
時間がかかっても、手間がかかっても、大切に直して使い続ける。
先人たちの精神に対する強い憧れと、能登の手仕事への絶対的な自信がこのこだわりにつながりました。


一つの品物をつくるまでには、着物をほどき、洗い、整え、一枚の布にして、裁断して、縫うという大変な過程を要します。
すべて手作業で、一枚一枚の着物生地の特性に応じて行う作業は、想像以上の手間と技術をかけなくては実現できません。
その過程を経るからこそ、ゴミだったはずの布が、美しいバッグへと生まれ変わるのです。
着物というかつての形から、一枚の布という本来の形に戻り、さらに、人々の丁寧な手仕事を加えることで、現代の暮らしに必要なものへと美しく変容を遂げる。
私たちは、この古い布の変遷に、災害後の能登再生への希望を重ねています。
EIKICHI PROJECT MEMBER
Reiko Enomoto
このプロジェクトは主に、Futoのメンバーの一人で、染色家で音楽講師としても活動する榎本玲子さんと共に進めてきました。
「こういうものにしたい!」という勝手なイメージを共有して、彼女が日々切磋琢磨し形にしてくださいました。
「私はプロじゃないから」というけれど、プロじゃないからこその柔軟な発想をもって、着物をあずま袋に再生するという形に導いてくれました。
Ayumi Ochi
パタンナーの越智さんは、神奈川県在住。都内を中心にパタンナーとして活躍なさっています。遠方でできる支援をと申し出てくださり、パターン制作に協力くださっています。さらに販売に向けてなどもアドバイザーとして協力してくださっている心強い存在です。
Naoko Miyauchi
宮内直子はFutoのメンバーであり、アドバイザー。今後の販売展開についても彼女の協力なしでは進められそうもありません。
Yuki Morishima
写真は、友人でフォトグラファーの森嶋夕貴さん。
撮影はお任せでしたが、深く語らずとも私の思いを理解してくれて、一つ一つの布の表情、その奥深さを最大限に引き出した、想像を超えた素晴らしい写真を贈ってくれました。
あずま袋はあくまで「もの」ですが、その背景や手触りをくみとり、まるで一人の人と向き合うように撮影してくれる彼女だからこその写真だな、と、何度も見返してしまいます。
彼女が撮影してくれた写真は、ウェブはもちろん、展示、購入いただいた方へのお礼、さまざまなシーンに登場することになります。
改めて、彼女たちが友人であり仲間であることを、心から誇りに思います。
また、このメンバー以外にも、着物を解く作業を手伝ってくださっている方、着物を譲ってくださる方、着物を譲りたい人がいる紹介してくださる方、さまざまな方のお力で成り立っています。
みなさん、すべてボランティアでご協力くださっています。